サッカーS君のトレーニング。
入会してまだ5カ月ほどですが、綺麗なポジションでマシンを動かすことが出来ています。
この日はサッカーの試合後に来館してくれたので、下半身全体に疲労感があるように感じられました。
ハードな練習や試合後など、身体へのダメージが大きい場合、ついつい休養することだけに専念しがちですが、疲労度が高い時ほど肩甲骨・股関節をしっかりと動かし、リフレッシュした状態を保つべきなのです。
疲労が蓄積し続けると、肩甲骨や骨盤といった身体の主要関節は筋肉の緊張によって正しい位置からズレが生じます。そして歪んだ身体コンディションのまま競技を続けてしまう。歪んでいる状態なので、一部分にだけ過度に負担がかかったり、本来頑張らなくていいはずの筋肉が頑張りすぎたり、痛みがおこる典型的なパターンです。
クラブワントレーニングはある種、身体コンディションをリセットする効果があります。
スポーツによる筋疲労、日常生活によるバランスの崩れ、これらは肩甲骨・股関節を正しい動きでトレーニングすることでリセットされ、ダメージを受ける前の身体に戻す効果があるのです。
スポーツされている方は当然、身体能力を向上させようとしてトレーニングと向き合います。しかし誤った方法によって機能が低下してしまっている例があまりにも多いのが現実です。
まず第一に身体をリセットし、正しく動かせる状態をつくり上げないことには向上は望めないのです。
疲労で凝り固まった筋肉の緊張をゆるめ、各関節を可能な限り正しい位置に整える。
そして正しいポジションで出力させることを身体に覚え込ませていく。
このようにして身体能力は向上していくのです。
S君!!常に動ける身体をキープしてサッカー頑張りましょう!!!
Mさんのトレーニング。
ご近所にお住まいで、クラブワントレーニングを始められて5年ほどが経過しています。
仕事柄、腰背部や肩・肘といった部位に痛みや張りがでるようです。
本日も肩の痛みを訴えられて来館されました。
トレーナーがマシンの動かし方を確認しながら身体をチェックしていくと、肩甲骨周囲の張りが強く、動かすポイントがズレているようです。
マシンが筋肉に対して最大限ストレッチをかけてくれることがクラブワントレーニングの特徴の一つですが、Mさんの場合、動作中に上手く力を抜くことが出来ず、ストレッチのかかり方が不十分になっていたようです。
筋肉に十分なストレッチがかからないと、その後の跳ね返す局面でしっかりとした加速が生まれません。無理に跳ね返そうとして更なる緊張が生まれます。
トレーナーが動かすポイントをアドバイスしながら、肩甲骨周囲の筋肉に指先で圧を加えます。ストレッチがかかっている局面で筋肉を押してあげることで柔らかさが生まれ、また動作もリラックスしたものに変化して行きます。
多くの方がトレーニングに対して持っているイメージは「力を入れる」や「力む」といったものでしょう。
これは筋力トレーニングが世の中全体に浸透して、重い負荷を持ち上げたり、その負荷に耐えたりすることがトレーニングだという考えが定着してしまっているからです。
しかし本来人間の正しい身体の使い方とは、動作中、力が入る局面と、力が抜けリラックスできている局面が、上手く切り替わりながら行われるべきなのです。
動作の始まりから終わりまで力が入り続けているようなトレーニングでは、正しい動きは身につかず、逆に筋肉の痛みや緊張を生み、動作の妨げになることも多くあります。
現代人の私生活は力みや緊張の連続です。慣れない靴での歩行動作や長時間のデスクワーク。身体が悲鳴をあげるのも当然ですね。
せめてトレーニングの時ぐらいは、リラックスして、余計な力を入れないでおきたいものです。
サーフィンをされているAさん。
入会してから足繁く通って頂き、短期間でかなりレベルアップしてくれています。
サーフィンは競技特性上、腰や肩を痛めていたり、慢性的な疲労を抱えている方が多いようです。
特にパドリングの姿勢は身体にかかる負担がとても大きいのではないでしょうか。
肩甲骨周囲の動きに制限がかかっている方がパドリングの姿勢で動き続ければ、間違いなく肩のインナーにある脆弱な筋肉は、その強度に耐え切れず痛み始めるでしょう。
サーフィン後に上腕や前腕といった身体の末端部にばかり疲労を感じる方は要注意です。
大きな筋肉群が上手く使えず、小さくて脆い筋肉が頑張り続けると確実に痛みはやってきます。
またパドリングの姿勢は胸を張り、背中を反らせることが求められるようですが、腰背部が硬化している方には相当無理のある姿勢です。
無理矢理に背中を反らせ、胸を張っている状態が続けば、腰部への疲労は蓄積され続けますし、首の痛みを訴える方も少なくありません。
スポーツにおいて、正しいフォームや姿勢をマスターすることはパフォーマンスを向上させるために最も重要であり、必要不可欠な要素です。
むしろこれが全てと言えるかもしれませんね。
そしてこれらをマスターするためにトレーニングは遂行されなければいけません。
求められるフォームが上手く出来ない。つまり現状では求められるフォームが可能な身体状態ではないということです。
ほとんどの方は、肩甲骨・股関節の硬化が強く、動き全体に制限がかかっているケースです。
トレーニングで肩甲骨・股関節に対して様々な方向に動きを引き出させ、動きを高めて上げることが最重要です。
筋トレで大きな筋肉を獲得するよりも、可動域が最大限引き出された身体は正しいフォームによって大きなパワーが発揮されるのです。
Aさん!!この調子でレベルアップしていきましょう!!!
過去にトライアスロン、現在はマラソンを中心に活動されているOさん。
週に2回は確実にトレーニングしに来られ、高い身体能力を維持しておられます。
トライアスロン、マラソンに限らず、アスリートの練習による身体的疲労はとても大きなものです。
特にそのダメージは肩甲骨・股関節といった身体の根幹部に集中します。
疲労が蓄積し続けると肩甲骨・股関節の動きに制限がかかり、この代償を他の部位が受け止めだします。
スポーツの動作において、下腿部や膝関節周囲、前腕や上腕に疲労感が強く発生する場合は肩甲骨・股関節の動作に制限がかかっている可能性が高いです。
大きくて強い筋肉が使えないので、小さくて脆弱な筋肉が頑張らざる負えない状態が発生しているのです。
これでは上手く身体を動かせなくて当然ですし、このような状態で練習を重ね続けることが痛みを誘発する主原因だと考えられます。
日々のトレーニングで肩甲骨・股関節を最大限に動かし、その使い方を身体に覚え込ませる必要があります。
肩甲骨・股関節が常にリフレッシュされた状態を保つことが出来れば、動作制限がかかりにくく、負担の少ない動きで練習量をこなすことが出来るようになるでしょう。
写真左のレッグプレスでは上体を捻ることで負荷を股関節にしっかり乗せることができ、他関節の筋肉群(膝関節・大腿四頭筋群等)が必要以上に出力せずに済みます。実際の動作とマッチした正しい動き作りのトレーニングと言えるでしょう。
写真右のスプレッドでは肩甲骨の内・外転を股関節の動きによってコントロールします。このトレーニングからはイメージがつきにくいかもしれませんが、身体活動における下半身と上半身の連動をトレーニングによって再現しているのです。
このようにアスリートのパフォーマンス向上や動きやすい快適な身体を構築するためのトレーニングは実動作(求められる動作)を前提に考えられなければいけません。
動作を無視して闇雲に負荷をかけ、トレーニングの目的が「筋肉をつけること」になってしまっては身体能力の向上は望めないのです。
Oさんはトレーニングを継続して生涯現役でまだまだ走り続けてくれることでしょう。
そのためにも正しいトレーニングと動き作りは必要不可欠なのです。